想いや価値観を大切にする女性起業家支援プロジェクト

なごやなでしこWEB通信~名古屋の女性起業家を支援するプロジェクト【なごやなでしこ】

開業9ヶ月で予約待ち、1年で念願のスタジオオープン。〜ピラティススタジオ経営/石原美香さん〜

 
  2016/06/14

ピラティストレーナーからの脱却を図る彼女の次の一手は?

勝野
今日は、ピラティストレーナーの石原美香さんにお話を伺います。石原さん、よろしくお願いします。
石原
よろしくおねがいします!

ピラティスを始めたきっかけ

勝野
ではさっそく、お仕事の内容をお聞かせいただけますか?
石原
はい。名古屋市東区で女性限定のマンツーマンのピラティススタジオを運営しています。
勝野
ピラティスというと、どんなものですか?イメージ的にはヨガみたいな・・・
石原
よくヨガと似ているイメージを持たれやすいですが、似て非なるもの。とはいえ、常に動き続けるヨガ、体幹トレーニング、という感じです。
石原
最近ではピラティスの認知も広がってきているのですが、もともとピラティスというのはジョセフ・H・ピラティスさんというドイツ人が考案したエクササイズプログラムです。
石原
第一次世界大戦時に負傷兵のリハビリとして行われたのが始まりで、
石原
私自身は腰痛の改善のために始めたものなのですが、痛みの解放だけでなく姿勢の改善、O脚・X脚の改善、サイズダウンなどにも効果があります。
勝野
なるほど、それを女性限定でやられているんですね。ピラティススタジオを始めるきっかけとか、何かあるんですか?
石原
前職で産婦人科に勤めていて、産前産後の勉強をした時ピラティスのエクササイズがとてもマッチすると思いました。
石原
勉強を続けていくにつれて、「ピラティスのインストラクターとしてマンツーマンレッスンを提供したい!」と思うようになりました。
石原
残念ながら名古屋ではまだそういった仕事先が少なく、自分で起業しようと決めたんです(笑)。
勝野
いきなり起業!(笑)で、それをマンツーマンで提供しているわけですね。
石原
はい(笑)。もとはマンションの一室ではじめたのでマンツーマンでしかできなかったというのが実際なのですが(笑)、マンツーマンレッスンだからこそ提供できる価値もあるんじゃないかと思います。

MEMO

石原さんは平成27年4月に女性専門のピラティススタジオヴォールを設立。

マンションの一室から始まり、開業わずか9ヶ月でレッスンは満員御礼の予約待ち状態。年が明けて平成28年2月には融資を受けて東区車道で念願のスタジオオープンとなりました。

運動初心者のお客様に選ばれています

勝野
というと、たとえばどんなお客様が多いのですか?
石原
はい、20代から50代までさまざまです。私のところに来ていただくお客様は、どちらかというと運動初心者の方が多いように感じます。
勝野
運動初心者?
石原
運動を始めたいけど、いきなりグループレッスンはついていける自信がないという方。でも「やらなきゃ!」という意識が高い方が多いです。
勝野
確かに、ヨガでもエアロビクスでもグループレッスンの風景が目に浮かびますが・・・
石原
そこに一人で飛び込んで行く勇気がない人。でも、このままでは自分の身体、やばいんじゃないかな?っていう危機感を持っている方って、意外と多いんです。
石原
女性にはいろんな役割とかライフステージがあります。特に結婚を機に、妻であり嫁であり、妊娠・出産後は母であり。女性ならではの身体の不調などもありますからね。
石原
ストレス発散とかダイエットとかを目的としているよりかは、そういった不安などを感じている方に来ていただいているように思います。

「これくらいなら私にもできる!」

勝野
バリバリの元気なスポーツウーマンがレッスンを受けるものだと思い込んでいました。
石原
マシンも使うピラティススタジオとなると、そういうスタジオが一般的でしょうかね。うちのスタジオは完全マンツーマンレッスンであること。指導者も女性なので女性同士安心してレッスンが受けられること。これが一つの特徴でしょうか。
石原
あと私も運動やスポーツがとても得意というわけではないので、初心者の方のお気持ちを汲んで無理のないレッスンをしています。
勝野
バレーボールを顔で受け止めるというエピソードがホームページのプロフィールに書いてありましたね。
石原
ああ、はい(笑)。
石原
新規の集客はほぼホームページからで、いまは広告とかも出していないんですけど、私自身が元気いっぱいのトレーナーではないところが逆に安心していただけるのではないかと思います。
勝野
なるほど。
石原
だから、来ていただいたお客様からは、「これくらいなら私にもできる!」とか、「痛いと感じるところをピンポイントで教えてくれる!」といったお声を頂戴することが多いですね。

MEMO

石原さんの場合、体験レッスンに来た人のほとんどが入会していくそうです。体験レッスンの申し込みはほぼ100%、ホームページからとか。

ホームページから予約する段階で、ほとんど入会を決めている、という感じかもしれませんね。

習慣化するための「きっかけ」づくりに

勝野
運動初心者の人たちが、「自分の体がこのままじゃまずい」と気づくのはどんなきっかけなんでしょう?
石原
たとえば、

親の介護してる時とか、周りで老いを感じるようなことがあった時。病気の方はやはり症状が進行して危機感を感じた時。体型が気になる方はスカートやパンツのサイズがきつくなった時。

石原
こんな感じでしょうか。
勝野
なるほど。では、そこに気づいた人はまず何を探すんですか?
石原
病気だったらやっぱり病院だし、体型が気になる人はエステとかスポーツクラブとか。痛みとか歪みとかだったら整体とか。
石原
でも多くに共通していることは、「基本的には運動不足が原因なんじゃないか」と気づいていること。
石原
じつはみんな、本当は運動すればいいということはわかっている。でもそれがとてもめんどくさい。だったら例えば整体とかに行くほうが楽だし気持ちいいですよね。
石原
よくお客様から聞くのは、「整体の先生にピラティスがいいよ、と言われた」ということ。そんな後押しが多いです。
勝野
整体の先生にピラティスを勧められて、その人たちが石原さんの元に来られるのは、なぜなんでしょうか?
石原
やはり、私の経歴でしょうか・・・運動が苦手で、でも身体づくりはしたいという気持ちがわかるので。皆様はじめは「やらなきゃいけない」という気持ちでお越しになります。でも頑張り続けるってとても難しいことです。
石原
私は気が向いたらやってみる、程度の提案をいくつかご紹介して、お客様が「あ、これならやってみてもいいかも」というものを一つでも見つけていただければよいと思っています。
石原
それがきっかけで運動が習慣になったり、好きになったらそれは大きな成長ですよね。いつのまにか好きになっていたり、興味を持ってしまった、という状態になるようにしています。

MEMO

お客様に選ばれている理由がわからないひとは意外と多い。

でもこれを知ることは事業展開上重要です。

値段で選ばれているなら値上げしたらお客は逃げる。品質で選ばれているならクオリティ下げたらお客は逃げるが、値上げは受け入れられるかも。

石原さんの場合は、運動初心者だけど意識の高い人たちに選ばれている。

頼られるのではなく、自立する女性を育てたい

勝野
いかに続けられるか?習慣にできるか?がカギですね。
石原
ええ。ですので、いまのお客様はほとんど、ずっと定期的に通ってくださっている方がほとんどです。
石原
その意味では習慣化できていると言えるかもしれませんが、お客様にははやくスタジオを「卒業」していっていただきたいと思っています。
勝野
卒業ですか?お客様からの信頼を得ているからこそ定期的に通っていただけているのに、もったいないような気もしますね。
石原
ビジネスとして考えると、たしかにファンになっていただいている方々にずっと通っていただいた方がいいとは思います。
石原
でも、それによってお客様が「通っていること」に満足してしまっていたり、あるいは「過度に依存」してしまうようなことになってはいけない、と。
石原
私がお伝えしていきたいことはピラティスそのものというよりも、運動とか体づくりを通して女性特有のカラダの仕組みやライフスタイルを知ること。そして自立した女性を育みたい、ということなんです。
石原
なので、ある程度のレベルに達した方は次のステージに行っていただくように指導しています。
勝野
なるほど。
石原
結婚や出産、育児など、ライフスタイルの変化や加齢による不調や悩みが出たときに、私のことを思い出して来てくれたらうれしいなぁと思います。
石原
その意味では、女性のライフスタイルに合わせた、その変化のタイミングで訪れるであろう不調や悩みを改善するためのプログラムを、今後は提供していきたいと考えています。

MEMO

ビジネスを安定化させるための品揃えのポイントは、高額商品と継続商品の2種類。

高額商品は粗利率を上げるために、継続商品は収入のベースを確保するために、それぞれ必要です。

お客様を自分に「依存させる」ことは収入のベースを確保するために大事なことですが、

石原さんの場合は「女性の自立」がキーワードですので、卒業して次のステージに上がってもらうことのほうが重要なファクターなんですね。

ピラティストレーナーからの脱却

勝野
ということは、お客様がピラティスを卒業しても繋がりつづけるわけですね。
石原
そのためには私一人の力ではたりないので、トレーナーを含む事業パートナーは不可欠なんです。今後は、女性特有の不調や悩みを改善する場所として、お客様のライフステージが変わる度に訪れる、一生涯寄り添うスタジオになりたいです。
勝野
一生涯寄り添うスタジオ。
石原
女性特有の不調や悩みに特化したメニューを作り、「かかりつけインストラクター」みたいになることですかね。そうなるために各ライフステージ毎のオリジナルプログラムを開発し、さらにそれをオーダーメイドで提供していきたいです。
石原
また、スタジオ運営以外にもインストラクターのキャリア支援など将来的にやれたらいいなと思います。私個人としては自分自身や家族との時間も大切にしながら仕事をやっていきたいです。
勝野
まさに、起業家から経営者への過渡期ですね。今後の発展を期待しています。今日は貴重なお話、ありがとうございました!

編集後記

撮影日 2016年06月14日
聞き手 勝野弘志
撮 影 臼井さや香

ピラティススタジオヴォール代表 石原美香

代表 石原美香さん

ピラティススタジオヴォール代表

  • STOTT PILATES 認定インストラクター
  • 日本マタニティフィットネス協会認定インストラクター
  • studio yoggy認定 産前産後ピラティスインストラクター

名古屋市東区にて女性専用ピラティススタジオを経営。ライフスタイルに合わせたオリジナルプログラムは予約待ちになる程好評を得ている。

URL http://wohl-pilates.jp